2023.05.08
<2026.3.11 学校だより124号から>
日和山小学校の令和7年度の教育活動も、まもなく一年の締めくくりを迎えます。この一年、校内のさまざまな場面で、子どもたちが悩み、考え、仲間と関わりながら成長していく姿を見ることができました。
私はこの一年、日和山小の子どもたちを「強い子ども」に育てたいと願ってきました。ここでいう強さとは、腕っ節の強さや言い合いに負けない強さではありません。学びの中でのつまずきや失敗、人との関わりの中での悩みに出会っても、それをしっかりと受け止め、自分の力で考えながら前へ進んでいこうとする強さです。そうした経験を重ねる中で、子どもたちは少しずつ自分の世界を広げ、成長していくのだと思います。
そのために大切にしてきたのが、子どもたちの「自己決定」です。大人の言うことをよく聞く子どもが「よい子」なのではなく、自分の考えをもち、自ら判断して行動できること、そして周りの人のことも大切にできることが大事だと考えています。
もちろん、その過程では失敗することもあります。友達とぶつかったり、思うようにいかずに悩んだりすることもあるでしょう。しかし、そうした経験こそが子どもたちを育てていきます。だからこそ子どもたちには、のびのびと、時にはやんちゃなくらいでも、自分らしく「自由に生きる」ことを大切にしてほしいと願っています。
その中心となるのが、毎日の授業です。授業では、全員が自分の考えをもつこと、そしてそれを伝えることを大切にしてきました。その中で、「かんがえる力」「つなげる力」「ひろげる力」という三つの力を育てています。自分の考えをもち、仲間の考えと関わり合いながら、新しい見方へと広げていく――それが日和山の学びです。
また、クローバー班によるピア・サポート活動では、運動会の縦割り種目、しも町アドベンチャー、長なわ記録会などを通して、子どもたちは学年を越えて支え合う経験を重ねてきました。高学年は下学年を思いやり、下学年は上学年の姿に憧れながら、仲間とともに活動をつくり上げています。さらに「しも町学」では地域の方々と関わりながら学び、人とのつながりを広げてきました。こうした活動は、三つの力を実際の生活の中で生かし、さらに高める大切な機会となっています。
このようにして育ててきた三つの力は、それぞれ別々に育つものではありません。互いに重なり合いながら育っていくものです。一つ一つの力が大きくなるとともに三つが重なる部分もますます大きくなり、自分の力で前へ進んでいく本当の強さが生まれます。それは、硬くて折れてしまうような強さではなく、周りの人と関わりながら何度でも立ち上がることのできる「しなやかな強さ」といえるでしょう。子どもたちがそんな強さを少しずつ身に付けていく姿を、これからも大切に見守っていきたいと思います。
NHKドラマ「テミスの不確かな法廷」で、主人公の裁判官・安堂清春は「分からないことを分かっていないと、分からないことは分かりません」という言葉を信条としています。子どもたちの心の様子や置かれている環境など、私たち大人にはまだ分からないことがたくさんあります。だからこそ、分かろうとする努力を重ねながら、子どもたちとともに「みんなの学び舎」をつくっていきたいと思います。その中で子どもたちは、安心して挑戦し、失敗から学びながら少しずつ成長していきます。そして、自分の力で前へ進もうとする「強い子ども」へと育っていくのだと信じています。
一年間のご理解とご協力に、心より感謝申し上げます。