2023.05.08
<2025.7.11 学校だより115号から>
「いってらっしゃーい!」、日和山見送り隊の声に、「いってきまーす!」と船上の子どもたち。毎年同行してくださる添乗員さんも、待っていましたと笑顔で大喜び。子どもたちにとってうれしい修学旅行の幕開けとなりました。
今年の修学旅行を一言で表すならば、「たおやか」と言えばよいでしょうか。波も天候も穏やかで、何よりも心ゆったりと学ぶことができました。みんなが健康で、良い思い出ができました。
私は20年ほど前、佐渡南部の羽茂小学校に勤務しました。全校児童は120名ほどで、羽茂祭りの日は10mもある大獅子が鬼と一緒に学校やって来て、子どもたちが逃げまわるのです。「つぶろさし」が街で舞い、夜はホタルが飛び交う中で薪能を奉納します。幻想的で神秘的な祭りが繰り広げられる地域でした。川ではアユが銀色に輝きカニが歩いています。夜空には満天の星と天の川。歴史や自然の恵みが息づく文化の中で、地域一体となって宝である子どもたちを育てる風土に教育の原点を感じることもしばしばでした。
今回、佐渡を訪れ佐渡を学ぶ子どもたちと過ごすことで、当時の空気感がよみがえり、懐か
しさとともに喜びを覚えました。1日目、子どもたちはしも町で学んだ北前船「白山丸」と出会い、その大きさや精巧さに驚きました。北前船の寄港地宿根木の散策の後、弥光
寺川河口で磯遊びに興じ、アメフラシやカニと戯れシーグラスや貝殻を拾ったことも思い出です。地元ガイドさんたちのおかげで、自然と共に生きた当時の人々の暮らしを感じることができました。夜は一人一杯のズワイガニに苦戦しながらおいしい夕食をいただき、窪田の青年団が舞う「鬼太鼓」ライブに参加!掛け声とともに一体となる姿がありました。2 日目、世界遺産の佐渡金銀山をその目で確かめ、歴史に触れることができました。また体験活動では、無心にろくろを回したり釣り竿を振ったり、夢中になって取り組みました。目に映るすべてのものが美しく、次々と寄せる感動に、「もう1日ここにいたい…」とつぶやく声がいくつも聞こえてきました。この 2 日間は、佐渡としも町とのつながりを感じ取る貴重な時間になりました。
そこには、時や空間を超えて本物を見つめる、純粋で真剣なまなざしがありました。子どもたちの姿は、私が20年前に見た教育の原点に匹敵する、たおやかでのびやかな学びの姿でした。学校や家という日常を離れ、五感を最大限に使って子ども同士で生活を送る修学旅行は、これまでとは違う新たな関係や価値観を生み出すことにつながります。
「関係する中で関係は作られる」と言われるように、同じ人やものとの関係でも、さらに深
めることにより新たな見方・考え方や価値観へと更新していくことが人の成長と言えるのでしょう。子どもたちにとって、新たな関係や価値観を生み出す 2 日間であったことがうれしくてなりません。