2023.05.08
<2025.9.1 がっこう116号から>
「チッチッチッチッチッ」今、校長室の中でこんな音が聞こえています。何の音でしょう?
私にとって心に残る夏休みの思い出の一つは、夢中になって昆虫を追いかけたことです。
父は、北魚沼の山あいの出身で当時の勤務地も中越の山間地でした。小さいころから、昆虫を探すことが大好きで、夏休みになると父の実家に滞在し、虫捕りに熱中していました。変わった色や形、見付けた瞬間に飛び去っていくあの一瞬のときめきに心を奪われました。同じ場所を往復している、吸い込まれそうな目をしたオニヤンマ、川辺をゆったりと飛ぶ繊細なイトトンボ、夜のクヌギの木に集まる勇壮なミヤマクワガタ、たなや(池)の水中で逆さになって呼吸するタイコウチなど、様々な昆虫と出会う中で、自然の不思議さや神秘さに胸をときめかせていました。
近年、私たちの周りは人の手が加えられ、なかなか本物の自然と触れ合うことができず、自然と親しむ機会が減っていると感じます。そこで、父親としての私は、自分の子どもたちが幼いころ、家族を連れ立ってよくキャンプに出掛けました。ある夏のこと、大雨の中、テント泊をしました。テントの周りには、意図せず大きな水たまりができ、このままでは大変な状況でした。それをどう切り抜けるか、子どもたちと一緒に考えて溝を掘り、水たまりを無くすことに成功しました。この挑戦は、素晴らしい自然とともに、自然の厳しさにも触れた体験となりました。
子どもたちが、自然を身近に感じながら、自然とともに生きる創造力や課題解決力をもち、しなやかで逞しく成長するためには、教室から飛び出す経験が必要です。
日和山の子どもたちも、自然体験教室やSUPなど、教室を離れ、自然と触れ合う活動を行っています。中でも、前号で紹介した5年生の自然体験教室は、その名のとおり、大自然の中に身を置き、キャンプファイヤーの計画を立てたり、オリエンテーリングやカヌーを体験したりしながら、身をもって自然を味わう経験となっています。自然を相手にすることで、その素晴らしさを感じ取るとともに、協調性や行動力を磨き自立心を高めることができます。
自然環境に恵まれた秋葉区の我が家周辺では、オオスカシバやヒョウモンチョウ、チョウトンボなど様々な昆虫の姿を目にすることがあります(右側写真)。私にとって、昆虫を相手に過ごしたあのときめきは、今でも鮮明な記憶として残り続け、大人になっても子どものころ同様に、昆虫はとても身近で心引かれる存在です。
夏休みを終えた子どもたちは、様々な経験を通し、身も心も一回り大きくなって帰ってきたようです。夏休みが、自分の「好き」を広げ、ますます逞しく成長できる機会だったのでしょう。
校長室の声の主は「カネタタキ」です。数日が経ち、今度はメスが現れました。声に誘われてここまでやってきたのですね。自然はあまりにもドラマティックです。